季節の草花「蘿藦 (ががいも)」
九州以北の日当たりの良い山野や道端などで見られるガガイモは、夏の季語で、8月に淡紫色のビロードのようなふわっとした花を咲かせます。
実は長さ10cm程でイボ状の突起があり、冬には熟して2つに裂けます。
ガガイモは神代の時代から日本に存在する花として知られますが、日本神話でスクナビコナの神が乗ってきたとされる「天之蘿摩船(あまのかがみのふね)」は、2つに割れると舟形に見えるガガイモの実のことだそう。
また、ガガイモの実にはびっしりと絹糸状の長い毛をもった種子が詰まっており、実が割れるとタンポポの綿毛のように風に乗って飛んでいきます。
かつては、この毛を綿の代用としてお裁縫に使う針刺しや印肉に使用したようで、民間伝承上の謎の生物ケサランパサランの正体はガガイモの種だとする説もあります。
種子を乾燥させたものは生薬で「蘿藦子(らまし)」と呼び、乾燥した葉や茎とともに滋養強壮に用いられます。
生の茎葉は解毒や腫れ物の貼り薬として使われ、また、茎を切ると白い乳液が出ますが、これはイボや虫刺されに塗られ、種子の毛は傷口の止血に用いたそうです。
若芽・果実は強壮効果のある山菜として人気があり、茹でて油炒めや煮物などの食用にもなります。
ガガイモの別名は、カガミイモ、乳草、シコイイ、スズメノマクラ、クサパンヤなど。
いずれの名も由来は諸説ありますが、芋に似た実を付けることからガガイモ、カガミとは輝く実のことで、種子の絹糸が銀色に光ることからカガミイモ、などとする説があります。
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