季節の言葉「浮寝鳥 (うきねどり)」
越冬のため、毎年秋から冬にかけて日本に渡ってくる水鳥たち。
その大半は川や湖沼などの水上でひと冬を過ごし、春の訪れとともに帰っていきます。
冬になると、雁や鴨が水面に浮かんだまま眠っている姿を見かけますが、水鳥のこうした習性を「浮寝鳥」、「浮寝の鳥」といい、冬の季語になっています。
首を翼の間に入れて丸くなり、身じろぎもせずに眠り漂う水鳥は、のんびりしているようでいて、どこか不安定なものにも見えます。
そのため昔の人々は、心配事を抱えて安らかに眠れない自分自身を、しばしば「浮寝鳥」に例えたものでした。
和泉式部が「水のうへにうき寝をしてぞ思ひやる」と詠ったのも、恋ゆえの心配からまんじりとも出来ずにいた夜のことだそう。
また、「浮寝」に「憂き寝」をかけ、涙にくれて寝る身のたとえに使われることもあるそうです。
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