第二十三候「紅花栄 (べにばなさかう)」 5/26~5/30頃
七十二候が小満の次候に変わりました。
「紅花栄」は、紅花が盛んに咲く頃を表した候ですが、実際に咲き始めるのはもう少し後の6月末頃から。
紅花は、咲き始めの頃は鮮やかな黄色ですが、成長するにしたがって徐々に赤色が増していきます。
茎の末端に咲く花を摘み取ることから「末摘花 (すえつむはな)」とも呼ばれ、万葉集にも登場しています。
紅花の茎丈は1m近くまで伸び、キク科ながらアザミのような棘 (トゲ) があるため、朝露を含んだ棘がまだ柔らかい早朝に、一つひとつ丁寧に花びらだけを摘んでいきます。
花を発酵・乾燥させて作る染料「紅餅」は、大変手間ひまがかかることから、幕末当時のその価値は、米の百倍、金の十倍という貴重品でした。
同様に、紅餅から作られる口紅も高価なものであったため、紅はごく一部の裕福な人々しか使用できず、花摘みをする農家の娘たちとは無縁のものだったそうです。
紅花の原産はエジプトと言われ、日本にはシルクロードを通って飛鳥時代に伝わり、その後、近畿地方を中心に全国に広まっていきました。
江戸時代中期以降、山形県最上地方で大々的に栽培されるようになり、その地で作られる最上紅花は、徳島県で生産される阿波の藍玉と並んで「江戸時代の二大染料」として知られるようになったそうです。
最上地方は今でも紅花の日本最大の産地として知られており、紅花は山形県の県花にもなっています。
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