第十四候「鴻雁北 (こうがんかえる)」 4/9~4/13頃
七十二候が清明の次候に変わり、冬鳥の雁が北へ帰って行く頃となりました。
ツバメの渡来とは入れ替わりに、冬を日本で過ごした雁が北のシベリアへと帰っていきます。
鴻雁とは、渡り鳥の「がん」のことですが、「鴻」は「ひしくい」と読み大型のがんを、「雁」は小型のがんを指しています。
群れをなし、連なり飛び去っていく雁。
昔から日本人は、雁の行き来に趣や季節の移り変わりを感じ、多くの詩歌に詠まれてきました。
「雁」「雁渡る」は秋の、「雁帰る」は春の季語です。
雁は、家紋にも多く使われ、和菓子の「落雁」や、高級茎茶の「雁が音 (かりがね)」にも結び付きがあることから、古くから日本人に親しまれてきたことがうかがえます。
ちなみに「雁が音」は、玉露や高級な煎茶の茎の部分を集めたお茶 (=茎茶) のことで、玉露の旨味と茎茶独特の風味を味わえます。
昔話に「雁は海で休むための枝をくわえて渡りをする」という言い伝えがありますが、その枝とお茶の茎をかけたのが「かりがね」の名の由来と言われています。
10月上旬には「鴻雁来 (こうがんきたる)」という季節があり、春に帰っていった雁が、その頃また日本へとやってきます。
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